今日は久しぶりの休みだ。
俺はコートを羽織ると雪の降り続く道を街へ向かって歩き始めた。

「やぁ、貴様も出かけるのか?」
田崎が後ろから声をかけてきた。
同じようにコートを羽織っているが、黒いコートがはためいてかっこいい。スラッとした体躯のせいで、かっこいいだけじゃなくて、色気まである。

「ちっ、田崎か」
つい口に出た。
「ちっ、って、酷いな・・・」
恨み言を言っている癖に微笑だ。色男は何をやっても絵になるから腹が立つ。
「波多野って・・・」
「・・・?」
俺に話を続ける田崎はちょっと珍しい。
「寒いときはポケットに手を入れるんだね」
「・・・!」

やっぱり腹が立つ。
「悪いかよ」
そう言って、別れた。
少ししてから振り返ると、甘利が出かけるのが見えた。
田崎が向かった方だ。
つけたい・・・
が、今日は用事があるからな。
仕方なくまた歩き出した。



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