「ちっ、雑音きえねー・・・」

今日も今日とて、俺は盗聴器を前に講習の成果を試している。正直講習の中身とはだいぶかけ離れている。というよりも、応用編だ。講習で得るものは多かったが、物足りなかった。
盗聴器、もっと使えたら楽しいに決まってる。

それには実践あるのみだ。
そんなわけで、俺は今神永さんの部屋に仕掛けておいた盗聴器にチャンネルを合わせている。少し距離があるからか?雑音がひどい。
「・・・ザッ・・・ジジジ・・・ザザッ・・・は・・・さん・・・」

?何か話し声が聞こえるな・・・
アンテナを微調整したり、つまみを動かしたりすると、ようやく聞こえ出した。
「ザッ・・・はぁ・・・はっ・・・はぁ・・・・・・」
ん?なんだ?
「はっ・・・ゆ・・・ゆうき、さん・・・」
え??????なんだ?どういうことだ?
ヘッドフォンから聞こえる声に集中するが、聞こえるのは神永のなんだか卑猥な声だけだ・・・
ま、まさか・・・

結城さんとシテるのか!?
それとも結城さんと想像して一人でシテるのか!?
「おっと〜!これはいいネタになるぞ〜!」
神永の弱みを握るチャンスだ!
俺はレコーダーのスイッチをいれた。
ヘッドフォンからは延々妖しげな声が聞こえてくる。

「はっ・・・はぁ・・・あ、もうだめです!・・・あ・・・あぁ!」
おいおいおいおい〜!どゆことどゆこと!?
聞いてるこっちが興奮してくる!
でも、神永と結城さんの顔を思い出したら、興奮が収まった。うん、ないわ〜。
すると、
「まだできるはずだ」
と、俺のよく知ってる低い声が聞こえた。
「え!結城さん!?いるの!?」
思わず声に出た。
「すみません、もう無理です・・・」
なに??何が無理!?
俺の想像が追いつかない・・・!くぅ!
「しっかり腰をあげろ」
え!何いってんの!?
「もう、あがりませんっ!」
うわぁ〜。

「そうか、それなら指はもう終わりにしてやろう」
指?指?
「はい・・・はぁ!・・・はぁ!・・・」
「あと五回」
多くね!?
「・・・はっ・・・はぁ〜!終わった〜!」
え?終わり?
「このくらいでへこたれていてどうする」

「でも、指たてふせ500回って、訓練のあとなのに・・・」
「訓練中、手抜きをしていたのだから余裕だろう」
何〜!?指たてふせ!?
俺は余りの事に椅子から転げ落ちた。

馬鹿らしい!盗聴をしていると、こんなことは時々ある。
何?聞いて想像する人間が悪いって?
貴様だって想像しただろう!(怒)

















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