「結城さんが見つかった!?」
「本当ですか!?」

波多野と実井は同時に叫んだ。

俺と甘利はパトロール中に波多野の家に寄った。
相変わらず波多野はパソコンの画面に夢中で、赤ん坊は派手に泣いていた。

「真島の大学費用を出したのが結城さんらしいんだ。卒業後の道筋をつけたのも、同じらしい」
「とゆうことは、結城さんは組長かなんか?」
「いや、裏社会に顔の効く、政財界の影のドンといったところらしい。総会屋だ」
「総会屋って・・・ヤクザじゃないんですか?」
実井が怪訝な顔をした。
「株主総会に出席して、経営陣を退陣に追い込んだりするあれだろう?まあ、似たようなものだな」
甘利が口を挟んだ。
「らしくないな。恐喝が仕事なんて」
「ある意味にあってるけどな。なにしろ、魔王だからな」
魔王。
真島もそれを口にした。
偶然か、それとも・・・。

「結城さんに間違いないのか」
波多野が尋ねた。
「真島は記憶を抜かれたらしい。そんな芸当が出来るのは、あの人だけだと思う」
「わからないぞ。最近のテクノロジーはそんなのも流行りだからな」
甘利が言った。
「テクノロジーったって・・・夢物語だろう」
「そうじゃないよ。一流企業、ヤクザ、警察・・・21世紀だぜ?俺たちの時代とは違う」
「真島はレトロな感じだけどな」
真島の上半身を覆う刺青を思い出しながら、俺が言った。

「そいや、真島って真珠いれてるんだろう、あれに」
甘利が再び言った。俺は殴る真似をして、
「だからいれてないって!」
「俺も入れたいな。どこで手術したんだろう?」
「しらねーよ!なあ、実井」
「良ければ僕が入れましょうか?あれの先端を切り裂いて、中に真珠を埋め込めばいいんでしょう?」
実井が答えると、甘利はのけぞったが、

「実井・・・お前、実井だ、それ・・・」
波多野が妙に嬉しそうに両手を擦り合わせた。

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