情報処理室に行くと、神永がいた。

「お、今日はスーツかぁ〜。買ったの?」
「実井が買って来た」
「プレゼント?熱いね」

代金は給金から差し引くといっていたのは、多分本気だろう。
手元に残らないんじゃないかと思う。

「今日は株価の動きが変なんだよな。乱高下してて。どう思う?」
「大統領選が近いからだろ」
「それだけじゃなさそうなんだけどね」
神永はキーボードを連打した。

「・・・こんな機械も、昔はなかったな」
「昔って前世?まあ、大戦前だからな・・・70年か」
「もうスパイは廃業だな。パソコンがあれば・・・情報なんて・・・」
「昔が懐かしいって?」
神永は手を止めて、俺を見た。
「お前、こんな時代が来るって予想してた?」
「いや・・・もっと進んでると思ってた」
「もっと?テレパシーでも使うって?」
「そうだな。誰でも月くらい行けると思ってた」
「俺も」
神永は再び画面に向き直り、指を動かし始めた。

俺も席につこうとしたが、腰に痛みを感じて、うずくまった。
「どうした?」
「な・・・なんでもない・・・」
福本だ。あいつ・・・。
痛みをこらえて席に着く。腰は、ずきんずきんと、疼いた。
だいたい、俺は受けじゃないんだ。
どっちかっつーと、攻めなんだ。身体も固いしな・・・。

神永がそっと痛み止めの薬を机に置いた。
「い、いらない」
「飲めよ。痛むんだろ。頭が」
背に腹は替えられない。俺は痛み止めを、ペットボトルの水で流し込んだ。
「ありがと」
神永、お前、もしかして・・・。






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