小田切「お、なんだ、田崎、もうでるのか」
田崎「ああ。ちょっとのぼせたから」
甘利「話の続きはあとでするからな」
小田切「続きって?」
田崎「なんでもないよ・・・部屋にいるよ」

田崎さんがでて、風呂は小田切さんと甘利さんのふたりになった。
と、福本さんの声がした。

福本「なんだか、今日は疲れたな」
小田切「どうした」
福本「たまっていた仕事を片付けていたらこの時間だ」
甘利「お互い大変だな」
小田切「おい、福本。この湯船に3人はきついぞ」
甘利「そうだよ。無理やり入るなよ」
福本「少し寄れ。ほら、入れた」
小田切「まったく貴様は子供みたいだな」
甘利「・・・なんか青春してないか、俺たち」

小田切「俺が出るよ」
甘利「湯が減った感じだな」
福本「・・・いい気持ちだ。芯からあったまる」

3人が風呂をでたあと、福本さんが庭にやってきた。
福本「代わろう」
哲二「えっ・・・」
福本「もうすぐ、結城さんが入る。背中を流してやってくれ」
哲二「わかりました」

僕が立ち上がると、福本さんは僕の背中をぽんと叩いた。
福本「ご苦労さん」

脱衣場に行くと、結城さんがいた。
結城「どうした」
哲二「お背中を流します」
結城「そんなことは頼んでないが・・・」
哲二「福本さんに言われました」
福本「結城さん、哲二君も風呂にいれてやってください。今日も頑張ってくれたので」

結城「・・・そうか」

僕は結城さんの背中を流した。
結城さんの左腕は、根元からすっかり義手になっている。
結城「どうした。義手が怖いか」
哲二「いえ・・・」

僕は一生懸命背中を流して、結城さんに感謝された。
結城さんの背中はとても大きくて逞しかった。
僕はなんだかぼうっとなってしまった。






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