「いつまでそうしてるんだ・・・」
葛西を抱きすくめた宗像を非難するように、葛西は言った。
「お前が俺を好きになるまで」
宗像が答えた。
「僕を落とすって、誰かと賭けてるのか?」
「まあな・・・落ちるほうに賭けたよ」
宗像は答え、葛西を抱いたまま、ベッドに横倒しになった。
「僕は眠たいんだ」
「眠ればいいじゃないか」
「貴様が邪魔したんだろう・・・」
「もうしないよ。寝ていい」
「こんな状態で眠れるものか」
「以前はよく、平気で眠っていたぞ」
「以前?」
葛西は怪訝な顔をした。
「お前は寝ると起きないからな。よくベッドにもぐりこんで、抱きしめていた」
「そんなことをしてたのか?この変態」
「変態はないだろう。温めてやってるんだ」
「頼んでない」
葛西は、諦めたように目を閉じた。
宗像は、その額にそっと口付ける。
「動くなよ。動いたらただじゃおかない」
「わかったよ」
少し不満そうに、だが、優しい目で、宗像は葛西の整った顔を眺めた。
窓から漏れ来る月の光が、葛西の顔を半分照らしている。
今日はこのまま眠るんだろう。
そう思うと、宗像の心臓はぎゅっと掴まれた様に、痛んだ。