「っ?実井!てめえ、やりすぎだろ!」

口に押し込まれたタオルをとられると、開口一番実井に怒鳴った。
「うるさいですね・・・。作戦ですよ。お陰で、この部屋のドア近くの宿泊客は皆ドアから顔をだしてくれました。空いてなかった部屋のドアを開けたら、案の定、瀬尾さんが盗聴器にかじりついていましたよ」
実井は瀬尾の首根っこを捕まえて、俺の前に押し出した。

「瀬尾、どういうつもりだよ・・・!」
「は、波多野さん・・・。いや、その・・・」
「お前、スパイだったのか?何を探っている!」

「・・・ぷっ」
ぷっ?
見たら、実井が俺を見て噴出していた。
「なんだよ!」
「いや、両手をしばられて、ベッドに寝かされてるのに、よくそんなに普通の話が・・・あはっ!あはは!」
「なっ!てめーのせいだろ!早く解け!」
「えー?もったいないなぁ〜」
「勿体ないってなんだ!」
実井と俺が言い合っていると、瀬尾のため息が聞こえた。

「〜〜はぁ〜。これもいい〜」
はぁ?
俺と実井が瀬尾を見ると、もうすっかり上気した顔で俺たちを見ている。
「なに言って・・・瀬尾?」
「俺、実井さんがされるほうだと思ってたんですけど、波多野さんがされるほうなのも、なんか、いいです・・・」
「はぁ!?なに言って!」
「やっぱり、実井さんと波多野さんって想像するだけでドキドキします〜」
な、や、やばくないか!瀬尾!?
実井が好きなんだろ!?
なんで俺までセットでそんな目で見てるんだよ!
「へえ・・・」
実井が面白そうに笑った。
「つまり、瀬尾さんは、俺が波多野としてるのを想像して興奮すると、いうこと?瀬尾さんは見ていたいだけ?」
「そうですねぇ」

そうです!?実井も!なんてこと聞いてるんだ!
言葉が出せずに困惑する俺に、瀬尾はにっこり笑いかけた。

「だって、波多野さんみたいな人が男の人好きだなんて、それだけで興奮します。しかも、実井さんみたいな人、見てるだけって言うか、声、聴いてるだけで、もう・・・」
うっとりする瀬尾に、実井が笑いながら呟いた。
「わ〜、へんたい」

瀬尾、友達発言、撤回していいか・・・?




























inserted by FC2 system