長いキスの後で、真島が言った。

「チョコレートの味がする・・・お前、誰に貰った!?」
「貰ってない。三好が作った奴を食べただけだ」
「三好に貰ったのか?手作りチョコを?」
「三好が結城さんに作った奴をあまったから貰っただけだ」
「俺の分は?」
「食べちまった」
「なんだと?」
真島は神永の肩に手を置いて揺さぶった。

「なんでだ?なんで俺にくれない?」
「だって・・・恥ずかしいから・・・」
「俺のことが好きなんじゃないのか?」
「す・・・」
頬が赤らむのが自分でも分かる。
神永は真島の手を振り払い、
「大袈裟なんだよ!たかがチョコレートごときで」
「俺はお前がくれると思って楽しみにしてたんだ!」
「誰もあげるなんて言ってないだろ!」
「どうしてくれないんだ!愛してないのか!?」
「あっ・・・あいして・・・」
神永は怒りでくらくらした。
たかがチョコレート如きでそんなこと言われるなんて、心外だ。
俺が愛してないだと?ふざけるな!

「もういい!!」
神永は上着を掴むと、バーを出た。
「あっ・・・おい、神永!!」
真島の声がしたが、振り返らなかった。
真島の馬鹿野郎。死んでしまえ。

痺れるようなキスをしておきながら、俺が愛してないなんて、どうしてそう思えるんだ?

神永は白い頬を高潮させながら、冬の道を歩いた。

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