確かに、この状況では、いくら正確に堂本と中国人マフィアを射殺したところで、こっちも蜂の巣だろう。

「銃を捨てろよ、かわい子ちゃん。ママのおっぱいが欲しいのか?」
神永は、ふいに銃口を積んであったドラム缶に向けた。
「待て!やめろ!!」
堂本が目をむいた。

どおおん!!
凄まじい音がして、ドラム缶が爆発した。
その場にいたものは全員吹っ飛ばされて、コンクリートに打ち付けられた。
見ると、神永も壁に激突して、そのまま気絶している。
「神永!!おいっ!!しっかりしろ!!」
返事はない。

俺は神永を担いで、その場を離脱した。

ったく、なんてことをするんだ。
こんな無茶をする奴だとは思わなかった。
あれじゃあ、下手したら全員死亡、こっちまで巻き添えを食う。
証拠は消してきたが、誰かに見られていたら厄介だな・・・。

「神永。お前、どーゆーつもりだ?」
自宅のソファに神永を寝かして、俺はコーヒーを入れた。
「俺を殺す気だったのか?」

「貴様なら俺を連れて離脱してくれると踏んでのことだ」
神永は答えた。
「随分信用されたもんだな」
「当然だ、D機関員ならな・・・」
神永は上体を起こそうとして、呻いた。
「いてて・・・だめだ。背中をやられた」
「無茶するからだ。歩けなくなったらどうするんだ」
「お前が世話してくれるんだろ?」
「・・・あほか。ったく、どこまでもつけこむ奴だな」
「D機関員なら当然だろ?」
「お前に燃やされるとは思わなかったよ」
俺はコーヒーを渡して、軽くカップを合わせた。

「とりあえず今は、生きてることを祝おうぜ」


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