神永の服を洗濯し、乾燥機にかけた。
シャツは捨てるしかなかった。血が染み付いて、落ちないからだ。
撃たれたとだけ聞いたが、詳しい様子は聞けなかった。
神永は、静かに頭を振っただけだった。
食器を洗ってリビングに戻ると、ソファで仰向けになって手で顔をかくし、神永は眠っていた。
神永が俺を誘ったのは、混乱していたからだ。
その証拠に、神永は俺に抱かれている間、真島の名を口にした。
奴の死が余程こたえたのだろう。
だが、明日からはどうするんだろう。
今日のことをなかったことにして、普通に接するんだろうか。
たぶんそれが、お互いのために一番いい・・・。
いわば必然性のある事故みたいなものだからな・・・。
だが、この嫉妬心はどうするんだ・・・。
胸の奥がちりちりと痛い。
既に死んでいる相手に嫉妬するなんて馬鹿げている。
まして、人違いだった元恋人なんて・・・。
俺は嫉妬心を押し殺して、神永を見つめていた。
神永相手にこんな気持ちになるなんて、どうかしている。
いや、どうかしていたから、ああなったのだろう。
真島と付き合いだしてまだ日は浅かった。
せいぜい、2、3回寝た程度だろう。毎日やってたのでなければ。
まあ、相手は暇だから毎日でもおかしくはないが・・・。
「・・・まじま・・・」
神永の声。ハッとしてみたが、どうやら寝言のようだ。
夢にまで見るのか。真島を。どうかしている。
「どうかしているのは、俺のほうか・・・神永相手に、何を考えて・・・」
そう自嘲した。
酒でも飲みたい気分だ。
煽るだけ煽って、忘れてしまいたい。