魔王の城。
そこには、8人の吸血鬼が住むという・・・。

「ああ、血が欲しい〜」
神永が言った。
「俺の血でよければどうぞ。それとも甘利のがいい?」
と田崎。
「なんか棘のある言い方だな」
と甘利。
「心にやましいところがあるから、そう思うんだろ」
と田崎は言い返す。
「やましいって・・・別に・・・なあ?三好」
「何の話ですか?それにしても結城さん遅いなあ・・・」
「本当ですよね。俺たちの分まで美女を攫ってきてくれるといいんですけど」
と実井。
「美女でなくてもいいけど」
と小田切。
「嘘つけ」
と福本。
「そろそろ戻ると思う。さっき、玄関の扉が開いた」
と波多野。

「俺の帰りを待っていたようだな」
結城さんが顔を出した。
黒いマントを翻して、颯爽と歩いてくる。
顔はまだ若く、30そこそこに見えた。

「結城さん♪」
三好が抱きつかんばかりにして、結城さんの腕を取った。
「お土産はないんですか?美女は」
と小田切。
「やっぱりな」
と福本。
「手ぶらなんですか、結城さん・・・俺たち腹ペコで死にそうです」
と神永。
結城さんは、
「空腹に囚われるな。囚われたら終わりだ・・・」

「本当に手ぶらなんだ?」
と実井。
「とほほ」
と波多野が言った。


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