田崎が神永の部屋に入ると、実井と小田切、福本がいた。

「何が始まるんですか?」
田崎の問いに、神永はにんまりして、
「ロシアンルーレット。<告白ゲーム>だ」

「<告白ゲーム>?」

「ベルギー土産のチョコレートを各自ひとつずつ食べる。どれかには自白剤が入ってる。しばらくすると当たった奴が、べらべらと過去を語りだす・・・」
「ちょっと待ってください。過去って」
田崎が焦った。

「過去っていっても、せいぜい夕べの出来事くらいだよ。問題ない」
と実井。
「夕べか・・・なにをしていたっけな」
と小田切。
「田崎は出かけていたようだな」
と福本。
「いや、俺は・・・」
田崎はひそかに冷や汗をかいた。

まさか昨日の出来事を、皆の前で告白するわけには行かない。
「ちょっと用事を思い出しました」
「待ったはなしだ」
と神永。

席に座らされて、田崎、神永、実井、小田切、福本が、皿の上のチョコレートを見つめている。
「覚悟はいいか?」

神永が尋ねた。
メンバーはそれぞれに頷き、目の前のチョコレートに手を伸ばした。



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