「俺でよければ慰めるけど?」

秋元の言葉に、俺はまた嫌な顔をした。
「貴様・・・自分が何を言ってるのかわかってるのか」
「十分わかってるつもりだけどね」
秋元は部屋を横切って、葛西のベッドに腰を下ろした。
長い足をこれ見よがしに組んで、流し目をする。

「なんなら、またここに寝てもいいよ。葛西だと思えば慰められるだろう」

「思えるものか。くだらんことを言うな」

「実際耐え難いんだろう?奴の不在が」

「相変わらず人に付け込むのがうまいな」

「それは職業病みたいなもんだよ」
秋元は綺麗に笑って、
「それとも、俺じゃ嫌?」

「もう帰れ。邪魔だ」
秋元の意図がわからん。
本気とも思えないが、冗談にしてはタチが悪い。
「大体貴様は葛西が好きだったんじゃないのか」
「俺そんなこと言った?言ってないと思うけど」
「付き纏っていた」
「将を射んと欲すればまず馬を射よ。だよ」
秋元はにやりとして、
「俺の申し出を断るの?随分つれないんだな」
「抜かせ。本気じゃないくせに」
「本気だったら?」

「絡むなよ。今日はどうしたんだ?おかしいな」
「そうだな。焦ってるのかもしれない」
秋元は認めた。
「焦ってる?なにを」
「妬けるんだ。お前が、葛西と寝たことが。細かく想像してしまって」

秋元は手を伸ばして、俺の手を取った。
「どんなふうにこの手で葛西を抱いたの?俺にも教えてよ」








inserted by FC2 system