「また葛西の夢でも見ていたの?」
秋元だ。
いつの間に入り込んだのか、目覚めた時に同じ部屋にいた。
「なにしてるんだ。そんなところで」
「君の寝顔を見ていた」
「そんなものを見て、何が楽しい」
「楽しいよ。いろいろとね」
「葛西の夢を見た・・・妙な男と一緒だった・・・」
ああくそ。
よく思い出せない。
「妙な男?」
「葛西を口説いてた」
「心配するから、そんな夢を見るんだよ」
「気が狂いそうだ」
たかが夢だが、妙にリアリティがあった。
葛西の唇を、男が奪う。
葛西は目を閉じる・・・。ベッドに倒れこむ。
葛西が喘ぐ・・・。瞳が濡れたように光る。
俺は頭を抱えた。
「夢に嫉妬してるの?馬鹿馬鹿しい」
秋元は葛西のベッドに横たわる。
腕を枕にして、こっちを眺めている。
物欲しそうな目で。
視線が一瞬絡み合った。
俺は無言で秋元の腕を掴むと、自分のベッドに引き寄せた。
「俺は葛西の代わり?」
「そうだ」
俺は秋元の身体を自分の身体の下に組み敷くと、その胸に顔を埋めた。