結城「夏の間はご苦労だった。慰労もかねて、秋祭りに行って来ていいぞ」

三好「わあ、ホントですか?」
田崎「楽しそうだな」
神永「輪投げしたいな」
甘利「焼きとうもろこし食べたい」
波多野「・・・金魚すくい」
実井「わたあめ」
小田切「・・・なにがいいかな」
福本「・・・シッカロール」

小田切「シッカロールってなんだ?」
福本「なんでもない」


秋祭りは近くの小さな神社で催されていた。
学生たちはぞろぞろと連れ添って、歩いていく。
イケメン揃いの学生たちに、女たちが振り向いていく。

三好「目立ってますね、僕ら」
田崎「男が珍しいんだろう」
甘利「普通は逆だけどな」

輪投げ、焼きとうもろこし、金魚すくい、わたあめ、射的と、娯楽と食べ物屋台がひしめいている。

神永「輪投げやろうっと、三好もどうだ」
三好「いいですよ」
神永「それっ・・・」
神永は外れた。三好はマッチを手に入れた。
三好「マッチか・・・ぬいぐるみがよかった」
神永「俺が取ってやるよ」
だが、何度挑戦しても、ゴジラのぬいぐるみが大きすぎて入らない。
神永「ちぇっ、インチキだ」
最後は吐き捨てるように言って、腰を伸ばした。
神永「あたた、かがんでいたから腰に来た」

甘利「焼きとうもろこしください」
焼きとうもろこし屋台のおやじ「あいよ」
甘利「熱そうだな・・・田崎、食うか?」
田崎「要らない」
甘利「なんだよ」

波多野「金魚すくい。また破れた」
実井「枠ですくわないからだよ。紙は破れるんだよ」
波多野「インチキじゃねーか。紙で掬わないと」
実井「ああ、また破れた・・・」
波多野「へったくそ」

小田切「射的か。簡単そうだな。おやじ、頼む」
射的のおやじ「へい」
渡された銃で、小田切は獲物を狙う。
小田切「さあ、いくぞ」

ぱん!輪ゴムが放たれた。だが、獲物は倒れなかった。
小田切「おやじ。当たったぞ。なのに倒れないってのは、インチキじゃないか」
射的のおやじ「インチキなんて滅相もない。少し重いんでしょう」
小田切「そうかな・・・」
福本「貸してみろ」
ぱん!また当たったが、獲物は倒れなかった。
福本「台座に固定してあるんだろうな」
小田切「おやじ、そうなのか?」

射的のおやじは、ニヤリとして、
「貴様らの修行が足りんからだ」
と言った。
小田切「・・・まさか」
福本はぽろりと煙草を落とした。

「結城さん・・・」






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