そのまま床に押し倒されて、唇を奪われた。
「!」

波多野さんの手が僕の下半身をまさぐる。
「声を立てるなよ。いいな?」
警察官のくせに、強盗のようなことを言って、波多野さんは唇を舐めた。

「やめ・・・」
「しっ」
やわやわともみしだく波多野さんの手。
「やわらけー。赤ん坊と同じだ」
嬉しそうな波多野さんの声。
僕のものは、ゆっくりと形を取り始めていた。

「時間がないから、前戯はこれだけな」
えっ?
波多野さんは乱暴に僕のボトムを脱がすと、ぐりん、と背中を向けさせた。
そして、強引に、僕の中に入ってきた。
「いっ・・・」
いきなり入れるか!?
まだ、濡れてもいない僕の身体は悲鳴を上げる。
「あぁ・・・ん・・・」
唇から卑猥な声が漏れる。
その唇をまた波多野さんの指が塞いだ。
「黙って。実井」
「むむ・・・」
背後から加えられた熱量を飲み込むのに、僕の身体はゆっくりと開き始めた。
他の誰かと比べようもないが、波多野さんのそれは、大きい。
呼吸が苦しくなり、胃が圧迫されているのがわかる。
もともと男を受け入れるようにはできていないんだ。
僕は涙目になり、わずかに背を丸めた。

「いい子だ・・・」
なにがいい子だよ、クソ!子ども扱いしやがって・・・!
歳が6つ離れていることもあって、波多野さんはやたらと大人ぶるんだ。
あぁ、もう、だめだ。
逝く・・・。

その瞬間、「おぎゃあ!!」
けたたましいベルのような音で、赤ん坊がぐずり始めた。
え?今?このタイミングで?
「・・・まじか・・・」
波多野さんがぼやく声が耳に届いた。




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